秒速5センチメートルを観る。


秒速5センチメートル


やっとこさ「秒速5センチメートル」を観てきた。
本当は先月の27日に仙台フォーラムで観る予定だったけど、一緒に行く予定の取引先の人(元同僚)に納期が厳しい仕事をお願いしてしまって忙しくなり、観に行くきっかけを失ってしまう。その後山形フォーラムでも公開することを知り、せっかくだからそっちで観に行くことにする。




観た感想…。

うーん。良かったよ。あまりにも期待してたから、ちょっと肩透かしされた感じだけど、良かった。

背景美術の美しさは、やっぱり新海誠だねー。押井守が得意とする「レンズ的表現」だと、見せたい場所にピントを合わせ、近かったり遠かったりする場所はあえてぼやけて表現するんだけど、新海誠の場合、ほぼすべての場所にピントが合っている。観る側の集中力が落ちて視線を外しても、ぼやけていると「ああ、映画を観ているんだ」と一瞬現実に戻るが、ピントが合っているとその現実感を継続して見続けることが出来る。ただし、背景の活字までに眼が行って読んでしまうので、台詞を聞き逃してしまうのが難点かなー。


新海誠監督作品は、よく声優の技量が弱いと評価されることが多いけど、個人的には逆で、カッチリした背景に、あえて起伏の少ない言葉が、よりいっそう現実身を感じてくる。登場する主人公が、アニメ的に存在を主張している訳でなく、本当に、その街に居て感じたままにしゃべってるような、そんな感じ。


第1話「桜花抄」の電車が乗り継ぎのたびに遅れていくシーンの、「待っててくれ」と「帰っていてくれ」の揺れ動く気持ち、ほぼ冒頭なのに泣きそうになる。
第2話「コスモナウト」は澄田花苗の切なさで悲しくなる。
第3話「秒速5センチメートル」は遠野貴樹のダメさ加減でいらだたしくなる。


鬱映画を期待して覚悟して見たんだけど、見終わったら「がんばらんとなー」と思えた。なぜか。だれか教えて。


最後のクレジットで役職名の隣に、仕事内容を象徴するマークが付くのが面白い。脚本だと台本、音楽だと音符、動画だと動画用紙(だったような…)とか。